【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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221:名無しNIPPER[saga]
2018/02/04(日) 10:13:46.04 ID:KQnxmm/50

…………………………

「可笑しい……?」

 はじめが困惑するような声で問うた。

「ええ、とっても可笑しいわ。生徒会って、こんな不自由な場所で過ごす生徒を束ねるものでしょ? くっだらないわ。学校なんて不自由なものに惰性で縛られている人間もどうしようもないけれど、自分から望んで縛られに行くようなことしてるあんたは、もっとどうしようもないわね」

 欲望を達成することもできず、ただ望まぬ事をやり続ける場所。そんな場所の規範たろうとするはじめのことを、ゴドーはくだらない存在だとしか思えなかった。そして、そんなことを面と向かって言ったのだ。はじめは怒っているだろう。その怒りすら嘲笑してやろうとゴドーが顔を上げる。

「うむ。たしかに、自ら何かを成そうと望まない人にとって、この学校という場所は、単に不自由な場所に映るかもしれない」

 しかしはじめは、ゴドーの顔を興味深げに見つめているだけだ。怒りの気配など、微塵もない。

(なに、こいつ……?)

「けれど、違う。学校という場所は、たしかに退屈で不自由な場所かもしれない。けれど、それは見方によって変わることなんだ」

 たじろぐゴドーに、はじめは続けた。

「私は学校が好きだよ。それは、ここが自分にとって心地がいいからというだけじゃない。学校という場所は、生徒全員に開かれているんだ。ここに通う生徒全員を受け入れ、生徒おのおのが望めば、その望みに向かう手伝いをしてくれる場所なんだ。この学校は先生方も熱意溢れる方ばかりだし、環境も適切だ。私は、そんなこの学校が大好きなんだ」

 まあ、と。はじめは含むように笑って。

「ただ、君から見たら、私は望んで不自由に縛られているように見えるのか。なるほど。そんな風に考えたことはなかったから、新鮮だ。後学のためになりそうだよ。ありがとう」

 本心からそう思っているのであろう、裏表のない笑顔。

 ゴドーがどこの誰かということにすら頓着していない。まじめすぎて、人間を疑うということを知らないのかもしれない。

 どこまでもよくできた人間だ。

 まるで、自分とは正反対――、

「……ッ!」

 気に入らない。気に入らない。気に入らない。

「……?」 一歩後じさったゴドーに、はじめが心配するような顔をする。「大丈夫かい?」

 気に入らないことを、我慢する必要があるだろうか?

 否。

「……あたしは、アンリミテッド。闇の戦士、ゴドー」

「えっ……?」

 瞬きすら許さず、ゴドーは小さい手をはじめの前で振った。

「あ……れ……?」

 はじめの身体がふらりと傾ぎ、廊下に倒れ込む。簡単な催眠術のようなものだ。

「……だから、何かを我慢する必要なんてない。不快だと思ったものは、目の前から排除する。ただ、それだけのことよ」

 ぱさっ、と。はじめの身体から何かが落ちた。

「……?」

 それは、一枚の紙だ。



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