43:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:58:41.97 ID:nZJI/gt30
鞠莉「ご、ごめんなさい」
ことり「ううん」
にっこりと微笑むと、ことりさんは私の両手を包み込んだ。
ことり「鞠莉ちゃん、あのね―――」
ことりさんの声が、鳴り始めた音楽に呑み込まれて消える。
鞠莉「何? ことりさん、聞こえないわ……!」
眉を下げて、ことりさんは私の背中を押した。
私はただ音楽につられるように、ふらふら前へ進んでいった。
頭がぼうっと熱を持っている。
舞台の光だけが見えている。
あの先には、何があるんだろう。果南とダイヤがいるのかな。
一歩ずつ近づくたびに、どんどんと音楽が大きく、ガンガンと頭に響いてくる。
あと5歩。
歩き方は大丈夫かしら。前を見て、顎をあげて。
あと4歩。
そうそう、胸も張るんだった。笑顔は、つくれているかしら。
あと3歩。
鼓動がうるさい。吐く息がうるさい。音楽がうるさい。
あと2歩。
リズムが取れない。足が震える。息が乱れる。
あと、1歩。
鞠莉「……っ」
眩い光に足を踏み入れた瞬間、音が消えた。
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