鞠莉(16)「留学してそろそろ半年ね……」
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40:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:56:11.11 ID:nZJI/gt30


   *





ことり「リハーサル、予定通り1時からだって」

鞠莉「……わかったわ」

ことり「鞠莉ちゃん、もう1回確認しておくね。まず――」

鞠莉「大丈夫よことりさん。もう覚えたもの」

ことり「ほんとに? でも、緊張してる」

鞠莉「大丈夫。ステージで取り返すって決めたのよ」

ことり「鞠莉ちゃん」


心配そうに、ことりさんが手を握ってくれる。

私、そんなに震えているのかしら。


会場は想像の半分くらいの大きさで、ステージも低かった。

本番ではないからか、周りの参加者は気を抜いた様子だった。

デザイナー同士で談笑したり、退屈そうに携帯電話をいじってみたり。

私だけが、背筋を伸ばして鏡の前で立ったままだった。


ことり「そんなに気を張らなくても大丈夫だよ。まだリハーサルだし、歩き方だってちゃんと練習したから……」

鞠莉「ええ、でも、ううん、何でもない」


朝、会場に入ってすぐ足が痛んだ。

決して歩けないほどじゃないけれど、くるぶしあたりがぼうっと重い。

嫌でも、思い出した。


鞠莉「おかしいわ。別に何もしてないのに」


―――あなた、震えてた。

鞠莉「怖くなんか、ない」


ことり「……鞠莉ちゃん?」

鞠莉「あ、ごめんなさい、何でもなくて」




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