70: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 01:00:19.87 ID:Qezuh/qr0
夕方の熊本市街で、百鬼夜行が始まった。
「おおぉ……!?」
「これは……えろう張り切ってはりますなぁ」
国道三号線に現れる、ありとあらゆる魑魅魍魎妖怪変化。
毛むくじゃらな赤鬼青鬼、光る眼の大きな虎、一つ目入道に髑髏にのっぺらぼう、唐傘のオバケだの大蝦蟇だのぬりかべだの、
更には偽市電や偽加藤清正像や偽おてもやん像や偽と〇りのト〇ロ……。
ありったけの化け力で変化した狸達が、どちゃがちゃ騒ぎながら一散に会場へ向かう。
会場で化けるもんとばかり思ってたけど、我慢できなかったらしい。流石は狸だ。
「うわーなんだこれ!?」「ゆ、夢でも見てるのか!?」「いかん危ない危ない!」「ぱぱーあれなにー」
「何? 映画かなんかの撮影?」「すげぇ、写メ写メ!」「拡散拡散!」「ちくわ大明神」
交通網は大混乱。幸い事故は起こってなさそうだけど、太い国道がこうも詰まっちゃ大渋滞だ。
「隙間通って、先回りするよ!」
「ふわわ、周子はん〜! もそっとゆっくり、ゆっくり〜っ!」
いうてもカブは50ccの原付だから、トップスピード自体は大したことない。
けど障害物と抜け道の多い市街地では、ストップ&ゴーが得意なこいつは実際以上の機動力を発揮するのだ。
車の間をすり抜け、細道をショートカットし、あたし達は暮れなずむ街の狭間を縫うように走っていく。
……え、50cc以下は二ケツ禁止?
細かいことは気にしぃな、こちとら非常事態なんだから!
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