小日向美穂「空と風と恋と山と街と狸と人と」
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30: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:18:16.93 ID:Qezuh/qr0

「くん、くんくんっ、ふがふが……」

「くんくんくん……! ふすすっ! はすはすはすはす……っ!」


「ふわぁ〜。あ、おはよーさん、美穂ちゃ……」
「ふすすすーっ! くんくん! くんくんくんくん!!」
「……お邪魔しましたー」
「ふがが……はっ、周子ちゃん!?」 

 すいーっと引いていく周子ちゃんを慌てて引き止めました。


「……手紙のにおいが違う?」
「そうなの。封筒もスタンプもいつものお母さんのなのに、においだけが全然別で……」

 狸……というかありとあらゆる動物にとって、「におい」は身分証明書のようなもの。
 嗅いだらすぐにわかるんですけど、この手紙からするにおいは、お母さんやお父さんのとは似ても似つきません。

 そうこうしているうちに起き出してきたみんながロビーに集まって。

 私は覚悟を決めて、封筒を開いてみることにしました。



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