128: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 01:40:59.99 ID:Qezuh/qr0
さく、さく、と雪を踏みながら、坂道を並んで歩いていきます。
「ん、美穂、尻尾出っぱなしだぞ」
「山にいる間はいいんですっ。だって、自慢の尻尾ですから!」
「そっか。――じゃ、戻ろう。みんな待ってる」
「はい。あの……」
普段の私なら、恥ずかしくって絶対言えないようなこと。
まだ聞こえる狸のお囃子に押されて、思い切って言ってみます。
「て――手を。つ、繋いでみませんか……っ?」
「手」
「はい、あのえっと、プロデューサーさん手袋つけてないから、きっと冷たいだろうなって……」
……だめ、ですか?
言った後で顔が熱くなって、もたもたしだす私。
思わず目を逸らした瞬間、ふっと手を取られて。
「あ……」
「うわ、お互い冷えてるなぁ。でもまあ、こうしてたら温かくなるのかな?」
寒くて冷たくなった手だけど、今の私には火のように熱く感じられます。
人間に毛皮が無い理由、今ならわかる気がしました。
触れ合った時、こんなにもはっきり鼓動を感じるから。
「……えへへっ」
手を繋いで二人、一歩一歩、降りていきます。
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