【安価】八幡「もう少し、人との関係というのを意識してみるか」【コンマ】
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9: ◆K/9ejbyfdE
2017/12/14(木) 10:44:13.69 ID:QeV3OeC70
一日目 放課後 駐輪場

さて、何かと因縁のある相模を助けてやろうと思ったのだが、困ったことに相模が困っていないと助けてやれない困った困った。
何か困っていないか聞くという手もあるのだが、今の俺たちの関係上そんなことを聞いても素直に対応してくれるとも思えない。
なので教室から相模の後ろをつけることにした。 やだ八幡変態みたい。

とはいえ都合よくトラブルが起こるはずもなく、気づけば俺は駐輪場まで来てしまっていた。
どうしたものかと考えていたその時、幸運なことに相模を助けられるシチュエーションに遭遇する。
相模の自転車が取り出しにくい場所にあるようで、面倒くさそうに手前に止められた自転車を動かしているじゃないか。
今こそ手伝ってやろうと近づくと、彼女が誤って他の自転車を倒しそうになったので、無言で手を差し伸べる。
こういうのって多分、押し付けがましく無いのがポイントだと思うの。

「あっ、ごめ……」

とっさに振り返って詫びようとしたのであろう相模が、俺の顔を見て言葉を止める。
まあ当然の反応だとは思う。

「これ、抑えとくからそっちの自転車起こしてくれ」
「……ん」

てっきり舌打ちの一つでも飛んでくるのかと思っていたが、相模は不機嫌そうに返事をして倒れ掛かった自転車を起こした。
少し意外だったが、特に言及することでもないので口には出さなかった。

「この自転車どかすから、ちょっと下がってろ」
「はあ? 別にいらないんだけど」
「俺の自転車も奥なんだよ。 よっこいせ」
「ほら、先にお前の自転車取れよ」
「……ありがと」

こちらを見ずに言ったその一言が、さっきよりも意外で驚いてしまった。
こいつ、俺にでも礼とか言うんだな。 俺の抱いていた相模のイメージが、少し悪すぎたのかもしれない。
ひとの印象なんてものは、ある意味自分の想像でしかないのだから、やはり人とは関わってみるもんだな。
それ以上は何も会話を交わさず去っていく相模を見ながら、そんなことを考えていた。



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