佐藤心「アホ毛?」小日向美穂「『ドリーミン・アーチ』ですっ」
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71:名無しNIPPER[saga sage]
2017/12/24(日) 23:15:09.41 ID:Tb36Fdbuo

――――――

 レッスンルームで皆とウォームアップをしていると、徐々に室内の空気が普段と違ってくるのを感じた。

 見たことのあるようなないような大人達がひとり、またひとりと顔を見せ、観客席に見立てて並べられていたパイプ椅子に腰掛けているのだ。

 美穂は周りの子達と顔を見合わせた。お互いの表情が、同じ予感がしていることを物語っていた。


「――では、今日は通しでやってみよう。ミスがあっても止めないから、自分達で立て直すように。さらに、事務所の方々が時間を作って見に来てくださった。本番と思って、ちゃんと盛り上げてみせるように」

 トレーナーの言葉は、まさに推測どおりだった。

 ステージはレッスンルーム、衣装はシャツにジャージだが、自分達のことを知らない観客がわずか十数人でもいるというのは、本番さながらだ。

 アイドルはパフォーマンスこそが名刺だ。社内でプロデューサーに伴われてペコリと頭を下げただけの少女には、まだ価値などない。

 だから、これは一種の試験なのだ。

 誰かが連れてきた名もなき少女が、事務所の一員として認められるための試験。

 ひよっこアイドル達の表情は目に見えて緊張していた。美穂もまた、鼓動が早まるのを抑えようと無意識に胸に手を当てていた。




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