佐藤心「アホ毛?」小日向美穂「『ドリーミン・アーチ』ですっ」
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62:名無しNIPPER[saga sage]
2017/12/16(土) 23:24:56.80 ID:PMml/roUo

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 それからの日々は目まぐるしかった。


 まず、プロデューサーを連れて熊本の実家へ帰った。

 正式に事務所に所属するにあたっての契約や、事務所が管理している寮への引越の手続きなど、保護者の手を借りなければならないことがたくさんあるからだ。

 その日、父はプロデューサーを酔い潰し、母は美穂の背を抱いた。


 東京に戻ってきて、宣材写真の撮影。

 イベントのフライヤー(チラシ)の印刷を待たせているらしく、スタジオは慌ただしかった。

 美穂はカメラマンにあれやこれやとおだてられながら笑顔を作ろうとするも、これが今後の小日向美穂を代表する顔になるのだと思うと、いやでも緊張し、泣き笑いのような顔しかできない。

「小日向さん、もっとリラックスしましょう」

 見かねたプロデューサーが声をかける。

「そ、そうですよね、そうなんです」

「ちゃんと目線を合わせてくれれば、あとはパソコンでちょっと魔法をかけてあげますから」

「し、修正っていうの、ですか」

「そう、ちょちょっと、背景をお花畑とかにね」

「私の顔じゃなくてですか!?」

「小日向さんの顔をいじる必要はありませんよ。まあとりあえず、ここを暖かい陽の差す公園かどこかだと思ってください」

 不思議なもので、そこからはほんの数枚取っただけでOKが出た。

 それは、美穂がひなたぼっこをするのが好きだから、想像がぴたりとはまった――というだけではないのだろう、きっと。




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