佐藤心「アホ毛?」小日向美穂「『ドリーミン・アーチ』ですっ」
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60:名無しNIPPER[saga sage]
2017/12/16(土) 23:17:47.56 ID:PMml/roUo

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「小日向さんはこの養成所に通っているわけですが、うちの事務所でやっている新人のお披露目イベントはご存知でしたか?」

「は、はい。ここから出た子も出演してました」

 観に行ったことはないが、撮影した映像を養成所の皆で鑑賞したことがある。

 一緒にレッスンしていた子がずいぶん遠いところに行ってしまったと思う反面、目に見えて緊張しているのがわかると、つい画面の向こうに応援の声をかけていた覚えがある。

「うちでデビューすることが決まったアイドルは、まずCDデビューなどの前に、皆この形式のイベントでプロとしての初舞台を踏みます。もちろん、小日向さんもこれに出演してもらいます」

 プロデューサーはブリーフケースから書類を取り出し、テーブルに広げた。

「実は、次回のイベントはもう出演者が内定していて、レッスンも始まっているんですが……私から、是非もうひとり参加させてほしいと打診していまして。昨夜、了承の返事があったところです」

「そ、そんなにしてもらって、いいんでしょうか」

「今回を逃せば、また出演者が集まるまで何ヶ月か待たせることになります。デビューを約束したと言っても、待っている間は小日向さんも親御さんも不安でしょう。ならば、急ぐべきだと判断したのです」

 その配慮は、いつ学校で進路調査票を配られるか心配な身としてはありがたかった。

 きっと佐藤心が推してくれたのだろう、と美穂は思った。このまま東京で進学するか、故郷に帰るか、そろそろ親と相談しなければ――そんなことを、彼女に漏らした覚えがある。

「言うまでもないことですが、小日向さんにそれだけの価値があると踏んだからこそ、ここまでやるんです。私は楽しみなんですよ、あなたの名がシーンに轟く日がね」

 プロデューサーは、いたずらっぽくニヤリと笑ってみせた。

「あ、ありがとうございます」

 美穂は照れをごまかして頭を下げた。



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