24:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:45:53.71 ID:dW68xNSs0
ユーは椅子に大きく腕を広げ、たくさん白い息を吐いた。
ユーリ「私達より後に死んじゃうなら、別に問題ないよね」
なんてユーらしい答えなんだ。そうだな。物はそうは簡単に死なない。私達より、後の死ぬ。
だから、ケッテンクラートが壊れて、私たちが歩くこともない。
カメラが壊れて、記録も記憶もなくなることはない。
レーションが底を尽きて、空腹に喘ぐこともない。
それは、私達よりも後に起こることだから。もしも前後が逆になることは、ない。そう思いたい。
そうなってしまったら。無防備で、生かされていた私達は、どうなるんだろう。その不安をユーに話した。するとユーは、いつもの調子でこう言うんだ。
ユーリ「その時は、また誰か助けてくれるでしょ」
チト「....誰も助けてくれなかったら?」
ユーリ「その時は!」
ユーは立ち上がって私の手を引いた。急にそんなことをされたら、私はバランスを崩して倒れそうになった。でも倒れない。
ぽたぽた。ぽたぽた。
ユーの笑顔。いつも通り。バカみたいに明るいその顔。
ユーリ「ちーちゃんが好きなあれだよあれ。片方が支えるあれ。ちーちゃんが倒れそうになったら、私が支える」
今度はユーはバランスを崩して私を引っ張る。ユーは私より全部がでかい。支えきれずにユーの上に倒れこむ。
ユーリ「私が倒れそうになったらちーちゃんが支える。どう!?かんぺきでしょ!」
チト「倒れてるんだけど」
ユーリ「まぁなんとかなるでしょ」
チト「またそれ....」
でもまぁ、あんまり考えることじゃない。それは遠い先の話だ。私はユーの柔らかい胸に顔を埋める。暖かい。
チト「でもまぁ、ユーの言う通りだな。倒れそうになったらどっちかが支える。そうすれば、私たち二人が終わるまで、終わらないよな」
ユーリ「そう!そんな感じ!」
たぶん終わる時は、ユーと一緒だろう。私は一人じゃ生きられない。ユーも同じだ。一人じゃ生きられない。
この世界を旅すると決めた時。この世界に生まれついた時から、私とユーは、一つの存在なんだから。
とくん、とくん、とくん、とくん。
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