96: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/17(日) 14:53:29.30 ID:Pl2TdVwXo
彼女の前には無残にも散った初代の後、二代目を襲名したアウトレット出身の
ダイニングテーブルが置かれており、その上には透明なガラス鉢に盛られたかき氷。
紅葉のように赤いシロップのかかったソレを、百合子はスプーンでしゃくしゃくと刻んでかき混ぜる。
そして迎え酒ならぬ迎え氷を青ざめた唇の奥へ運び込むと。
「うっ、うぅ〜! おいし、美味しいのにぃ……あ痛たたたたたたっ!」
呻く、仰け反る、また食べる。
身じろぎ、掬い、また食べる。
ベランダから網戸を通して入る風は実に軟弱な輩なので、
百合子たちの居るダイニングの室温を下げる気配は一向に無い。
レトロな扇風機がぐでんとした空気をかき回し、
窓枠の風鈴が申し訳程度に「りりん♪」と鳴る日常的な夏のワンシーン。
そんな中、対面に座る春香はうんうんと唸りながらかき氷をかき込む百合子の姿に
「百合子ちゃん大丈夫? そんなに慌てて食べなくても」と苦笑して、
我が子を見守る母のような慈しみの視線を彼女に向ける。
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