92: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/16(土) 09:11:14.57 ID:UcB0sd1Io
「そして四つ目。私、七尾百合子は春閣下さまに忠誠を誓うしもべであり、
下僕であり、彼女に命令されるならば世界を相手に大立ち回り――ん?」
……ところが、である。
自らの置かれた状況をここまでまとめ終わった時、
百合子は突如として言い知れぬ違和感と底冷えするような不安感に襲われた。
何か、何かが頭に引っかかる。今しがたまとめたばかりの文章に、
決してそのまま見逃してはならない不穏な一文が……。
「……あ!」
そして、はたと百合子は気がついた。
二つ目のまとめに織り込んだ、『春閣下さま自身か彼女と同等の力を持つモノの血が必要』
……これは事務所で春香よりかけられた、
『血だ。それも我のような力を持つモノの高貴なる血こそ最良のな』と言う言葉が元になっていたのだが。
彼女は言った、確かに言った、"我のような"とハッキリと。
「ちょ、ちょっと待って! それじゃあ春閣下さまのような"力"を持った存在が、この世界には他にもいるってことなんじゃ!?」
その恐ろしい想像を自分で考え自分で突っ込む。
そうして春香に発言の真意を問いただそうと百合子は急いで立ち上がり――。
「へにゃなななぁ……!!?」
長時間の正座で痺れ切っていた足に悲鳴を上げ、パタリとその場に倒れ込んだ。
さて――結論から言ってしまえば実に運の悪いことに、彼女の予感は当たってしまっていたのである。
これが闇深き新月の夜において、百合子が復讐に身を焦がす紗代子と死闘を演じることとなる一週前の出来事であった。
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