ムーディ勝山に受け流されたものたちが暮らしている街
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12:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 21:36:26.79 ID:oGGqqfyD0

 六畳一間の和室の中には、
 意外なことに家具が一通りそろっていた。
 どれもこれも使い古しのものに見える。
 彼らも、受け流されてここに辿り着いたのだろう。

「しかし、そのムーディ勝山という人物」
 気になりますね、と座布団の上に座した私は、首を傾げる。

「そうかい?」
 村長は畳の上に寝転がり、
 肘をついて愉快そうにこちらを見ている。

「気になりませんか?
 何から何まで意味不明だ。
 右から来たものを左に受け流す。
 右とはなにか。左とはなにか。
 右からくるものとはいったいなにか。
 そもそも、なぜムーディ勝山はそれを受け流すのか。
 一切が謎に包まれている」

「そうだね、確かに不思議だ。
 しかし、それは失った君の記憶よりも気になるものなのかい?
 君、自分の名前すらまだわからないんだろう?
 記憶を失ったら、まずはそれを取り戻したいと思うのが先じゃないのかい」

「それは……」
 私は言葉に詰まる。


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