青空坂上 〜卒業するまで、しゃっぽーしようね!〜
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30:中村千歳 ◆hsUAEn/JO/Q.[saga]
2017/12/04(月) 22:55:18.55 ID:LYe2U+Pd0
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「サッキーバイバイ!ノシ」
 高島さんが手を振ってるけど、どう反応したらいいのか分かんなかった。ごめんね高島さん。

 1丁目線北行・1条線東行直通、1条101丁目方面行。別名、外郭線外回り。この前高島さんに教えてもらったルートで帰宅する。

 入学式のときの挨拶。高島さんは、絶対覚えてるよね。
 あのとき私は、「八幡高校出身、青木さくらです」って言ったよね。

 本郷市立八幡高校。去年6月まで、私が在籍してた高校。
 でも、実際に通ってたのは、1日だけなんだ。

「卒業するまで、しゃっぽーしようね」

 中学の卒業式の日、上洲中学校正門前。私とこーやんは、そう約束した。

 「しゃっぽー」は、私とこーやんが使っていた挨拶。「やっほー」を適当にもじってたら、なんかそうなった。
 他の同級生は全然使ってくれなかったけど、こーやんだけはなぜか気に入って、2人だけの挨拶として定着した。
 それ以来毎日……ではないけど、学校で会ったとき、家に遊びに来たとき、路上ですれ違ったとき。とにかく私とこーやんが挨拶するときは、状況に関係なくしゃっぽーだった。

 こーやんと同じ学校に通うことが決まって、私は嬉しかった。
 こーやん以外に友達がいなかったから、友達がいる学校に通えるのが嬉しかった。

「卒業するまで、しゃっぽーしようね」
 あれは、卒業するまで一緒に通学しようねって意味じゃなくて。
 卒業するまで、ずっと私の友達でいてねっていう意味だったんだ。

 入学初日に、こーやんが桐畑さんという友達を作っちゃって。
 私のことは、もはや友達だと思ってなくて。

 何もかもが嫌になって、私は八高を退学した。

 その後こーやんがどんな風に過ごしてるか、私は知らない。
 別に知らなくても、生きていけるから。


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