90: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/22(月) 10:50:14.67 ID:H4KAurkc0
軍師「こいつの胸を突け」
本物の槍を使っての試合。相手の得物は剣のようだ。
剣と槍では、こちらに圧倒的な分がある。
相手の胸を突く。つまり、この場で殺すということ。
勇者「こい。死ぬ覚悟はできている」
少年が剣を構えた。
こちらも腰を低く落として槍を構える。
血は沢山出るのだろうか。
痛みで転げまわるのだろうか。
死にたくないと命乞いをするのだろうか。
母と父の名を叫ぶのだろうか。
嫌な汗が背中を伝った。
かぶりを振る。
恐れる必要はない、訓練用の人形と思えばいい。
一回突いて、それで終わり。
死ぬ間際の様子を想像するからいけない。
行け、行け、行け!
奇怪な雄叫びをあげて突きかかった。
ドンと床を踏みしめ、一気に加速する。
少年も剣を振りかぶった。胴の守りがガラ空きだ。
どこからでも突き放題。便所掃除などやってたまるか。
自分は兵である前に、貴族である前に、一人の人間なのだ。
勇者「……あいつ、どこに向かって走ってるんだ?」
軍師「知らん。周りが見えていないようだな。呆れた男だ」
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