勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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162: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/17(土) 00:58:12.94 ID:qbzPlNgx0
国王は王子の顔を見ようともせず、不満げに鼻を鳴らした。

国王「十七か、立派な大人だな」コツコツ

王子「まだ十六です、父上」

傍らを通り過ぎる父。
目で追う息子。
二人の間にそびえる壁はあまりに高く、固く、冷たい。
白騎士はいたたまれない気持ちになった。

国王「誤差の問題だ。どうでもよい。それより学業や武芸の調子はどうだ。もちろん、首席だろうな」

王子「はい、なんとか」

国王「なんとかではいかん。余の息子を名乗るからには、他の生徒と大差をつけよ」

国王「王族は他の糞貧乏人どもより完成度が圧倒的に上であることを、証明せねばならんのだ。分かるな」

王子「父上……ひとつ、質問があります」

国王「何だ、申してみよ」

王子「どうして王族、貴族、平民などと身分に差をつけているのですか。同じ国民として見ることはできないのですか」

白騎士「殿下……!」

王子「同じ人間なのに、僕みたいに宮殿で暮らす人がいれば便所掃除で臭い糞尿をかぶる人もいる。世の中不公平だと思いませんか。絶対そうだ!」

国王「ならば、明日から貴様は自分で野菜や果実を作り、自分で糞尿の処理をし、自分で家を建てるのだな」

王子「そ、それは……」

国王「誰しも、胸の内に欲望の炎を燃やしている。金持ちになりたい、美味い飯を食いたい、良い女を抱きたい、などと」

国王「しかし、身分の差をはっきりさせることで、糞貧乏人どもの欲望を抑え込むことができる。欲望を叶えようにも金が足りない、平民という肩書きが邪魔をする。次第に奴らは自らの境遇に妥協し、慣れ、従順となるのだ」

国王「つまり、身分制度は国を安定させるための箍のようなものだ。必要悪。気持ちのいいものではないが、なくてはならないものよ」

国王「息子よ、貴様の考えは幼稚だ。世の中、そう単純ではないのだよ。星の数ほどの人間が複雑に絡み合い、支え合い、蹴落とし合い、成り立っているのだ」

国王「誰の思想に毒されたか知らぬが、分不相応なことは言わぬが仏よ。糞貧乏人どもも、貴様に同情などされたくないだろう」



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