143: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/02/25(日) 22:48:55.93 ID:Hix20SZ60
魔女「間諜への依頼は済んだの?」
大富豪「とっくにな。タシケントの写生工場とバルフを結ぶ、安全な輸送路の確保を頼んだ。父の遺産も無限ではない。無駄な買収は避けて通りたいところだ」
大富豪「偽造書類も作れるには作れるが、墨液識別魔法を使われた日には、一瞬で偽の荷物だと判明する。そこから足もつくだろう」
魔女「公文書の墨も紙も、材料は機密事項になってるからねぇ〜」
大富豪「賄賂以外の関所の突破は難しい。ならば、誰にも見ることのできない闇の交易路を作ってしまえばいい、というわけさ」
魔女「できるのかい?」
大富豪「できるか否かではない。やるのだ」
大富豪はバッと扇子を開いた。
部屋に漂う伽羅の香りが、濃くなったような気がした。
大富豪「方々から人を集めている。流れの速い川で漁業に従事する者、険しい山で狩りをする者、砂漠で何十年も生き延びてきた者。報酬さえ与えれば、彼らは動く。そして、道なき場所に道を作る」
魔女「女装したまま言われても、なんだかなぁ」
大富豪「許せ。物資の管理に明け暮れる日々なのだ。退屈しのぎに、普段と違う自分になってみるのも一興だろう」
魔女「ま、そうだけどさ〜……」
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