128: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/02/10(土) 20:03:30.18 ID:ZvbAjQSX0
便所掃除「農夫、牛を貸せ!」
農夫「はわわわ、オラのベコに何するんだべか」
農夫を押しのけ、牛の背にまたがった。
鞍と鐙のない乗馬訓練は、王都で嫌と言うほどこなしている。
馬も牛も、またがれば皆同じようなものだ。邪魔な荷車を取り外す。
急がねばならぬ。行動が早ければ早いほど、追撃は効果を増す。
牛が尻尾を、箒で掃くように揺らしていた。
軍師「勝手に出撃しようとするな。総指揮権は私にあるのだぞ」
羽扇を持った童が、勇者を伴って現れた。
軍師。
童子のように見えるが、三十の半ばにさしかかった一人前の男である。
防衛戦の総指揮は、軍師が執っていた。
追撃の指示も軍師が出すことになっている。
便所掃除はあくまで現場の指揮官であり、階級としてはまだ一兵卒に過ぎない。
軍師「時間が惜しいので手短に説明する。残った500の兵を、300と200に分ける。全軍かたまっての突撃は行わない」
便所掃除「なぜ?」
軍師「敵が壊滅状態にあるからだ。もはやテルメズ軍は、軍の体を成していない。扇状に広がって、あちこちに逃げている。部隊を二つに分けた方が効率的だ」
軍師「便所掃除に300、勇者に200。二方向から敵を挟み込み殲滅しろ。皆殺しだ。一人も残すな」
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