123: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/02/09(金) 23:14:06.97 ID:mb4a/myF0
軍師「戦況は五分五分。先代勇者時代の守兵がいなければ、瞬く間に町を占拠されていた。こればかりは、あの男に感謝せねばな」
物見櫓の上で戦場を見下ろす軍師。
槍が飛び交っているものの、軍師の立つ場所までは届かない。
敵が梯子を上ってきた時は、護衛の役割を果たす勇者がことごとく斬り伏せている。
勇者「軍師、俺も下に行ってくる」
軍師「お前の実力では、下に降りれば死ぬぞ」
勇者「貴族達や便所掃除が闘っているのに、俺だけ物見櫓で高みの見物を決め込むわけにはいかない」
軍師「護衛の任務を忘れたか。下らぬ貴族どもの命と私の命。どちらに重きを置くべきか考えろ」
勇者「それは……どっちも大切だよ」
軍師「非現実的だな。櫓の上に立つ私の護衛と、下で戦う貴族どもの援護。ふたつを同時に行えるとは思えん」
勇者「兵士を一人でも多く戦場から帰すのが、俺達の役目だろ?」
軍師「違う。バルフの町を敵軍から守り通す。いくら犠牲を出そうとも、防衛に成功すれば尊い戦士者として崇められる」
勇者「意外と嫌な奴だな、お前」
軍師「私は最初からこの通りだが」
睨み合う勇者と軍師の間に、二人の兵士が割り込む。
兵士D「矢が尽きました!」
兵士E「敵軍が退却していきます!」
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