40: ◆3s4IbQehY.[saga]
2017/11/29(水) 16:03:13.80 ID:xx0SD3pr0
―001―
「……うわぁ」
「クチー…」
アローラから船で出ておよそ一週間ほど。
目的地であるジョウト地方、その中に存在するアサギシティに私は辿り着いた。
初めて他の地方に来た私はくだらない事に、最初にこう思ってしまった。
広い。アローラの中では大都市とされていたはずのハウオリシティより広い。
まるで初めて都会へ飛び出した田舎者のような発言だ。いや実際に田舎者かもしれないが。
「にしても、どうしちゃったんですかね船」
「クチィ」
私達が舟から上陸したと同時に何やら船に不具合が起きたとの話らしい。
現在メンテナンスが行われているとのことだが、出航するのは暫く無理だろう。
「まぁ、いいか 私達はすぐ次の船に乗るという訳でもないですし」
そう一人呟きながら私は船で貰ったジョウトの観光ガイドを確認する。
【アサギシティ 遠く離れた異国に最も近い港町】
「異国に最も近い、か……」
自分が“そういう類”を知ってしまったせいなのだが、こういう場所は少し不安になる。
人やポケモンが数多く訪れる、という事は“それ以外”も多く訪れる。
あまり姿を見せないモノであるからこそ、私は余計に心配になってしまう性質なのであった。
「クチッ」
そんな余計な心配、もといある意味で言えば「未来を予見していた」私を、
現実の物事へと引き戻したのは隣で辺りを見回していた私のクチートだった。
「ん?どうしましたか?」
「クチ、クチクチ」
「えっ?あの建物…ですか?」
「クチ」
彼女が見つけたのはこの町の中でも特に大きな存在感を放つ灯台だった。
現在の時刻は昼の為、灯台に光は灯っていなかったがそれでも充分な目印の役割をしていた。
当然この灯台は観光ガイドにも掲載されており、こう紹介されていた。
【アサギでは古くからポケモンが夜の海を照らしており、それを祭る為作られた灯台。】
ガイドによれば、今はデンリュウがその役目を担い夜の海を照らしているらしい。
「………確かに、灯台ですから何か集まっていそうですね」
「クチー」
クチートが何を心配しているのか少し分かり、私も灯台を一緒に見上げた。
「…おや?」
「クチ?」
灯台を見上げていた私のすぐ横を誰かが二人、急いで走り抜けていった。
横目だったのでハッキリと確認できなかったが、片方の人は紙袋を持っていた気がする。
そのまま目で追いかけてみると、二人は灯台の中へと入っていった。
「なにかあったんでしょうか?」
「クチィ」
「ちょっと行ってみましょう」
「クチチッ」
今しがた横を通り過ぎていった人たちが気になり、私とクチートも灯台へ向かう。
冷静に考えてみれば、この時点から既に、何かは始まっていたのかもしれない。
↓1〜2まで、灯台へ入っていった人物をミカン以外のキャラでおねがいします。
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