28: ◆3s4IbQehY.[saga]
2017/11/27(月) 17:56:06.67 ID:84jDvDHW0
「…参りましたねぇ」
まさに青天というべき青空の下、それに似つかわしくない表情で私は言った。
いや、正確に言えば自分で自分がどんな顔をしてるかなんて全く分からないけれど、
その時ばかりは顔を見ずとも、確認せずとも、私が浮かない顔をしているのは分かった。
なぜなら今後の私にとっては死活問題ともいえる深刻な状況に陥ったからだ。
と言っても、数年前のまさに地獄のようであった一週間に比べればなんて事ないが。
「これから私………どこで暮らせばいいんでしょうか」
そう、住まい。人が寝泊まりをする為に必須とも言える場所。衣食住の中の一つ。
生活するにおいて重大といえる三大要素の一つ。欠いてはいけないもの。
その一つを私は今日をもってなくしてしまう事になった。使えなくなってしまった。
「スクール卒業してからの事、一切考えていませんでしたから」
今までの私は、“リリィ”という人間は、学校という場所に通っていた。
トレーナーズスクール。人によってはポケモンスクールとも呼ばれる学び舎。
私はここの学生寮にて今まで暮らしてきた。住を確保し続けてきたのだ。
しかし今日、私はこのトレーナーズスクールから卒業した。一人立ちしたのだ。
これからは生徒としてではなく、一トレーナーとして過ごしていかねばならない。
その事実を、その現状を、今私は目の前に突き付けられてしまったのである。
「はぁ……」
進路の事なんかまったく考えていなかった。ぶっちゃけた話これなのだ。
もっともスクールに通い出したのも「姉に追いつきたいから」という不純からだったが。
私の姉、シオン。
一言で言ってしまうと「巨乳で明るくて誰とでも仲良くなれる女好きの天才トレーナー」。
彼女の裏を知らない人間からすれば、この一言で片付いてしまう女性である。
妹である私からすればこの一言では語り切れない程の情報を知っているが割愛。
現在は世界を巡る旅に出ており、私が今頼るべき人間ではないのは確かだ。
もうこの際、私も旅に出てしまおうか。世界を周る旅というのも悪くない気がする。
ただ、心配なのは“私自身”である。より細かく言うと、私に憑いたモノなのだが。
ここは一念発起して飛び出してみるか、それともここに。
私が生まれてから今まで生き続けてきたアローラ地方でもう少し過ごしてみるか。
「どうしましょうねぇ」
「クチ?」
そんな言葉を頭で回転させながら、横で私の悩みなど気付いてないクチートを撫でた後。
私はもう一度溜息をついた。
↓2 リリィの行動を選択肢から選んでください
・アローラに残る
・他の地方へ行ってみる、どこへ行くかも書いてください
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