バットマン「グランド……オーダー?」
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322: ◆GmHi5G5d.E[saga ]
2017/12/02(土) 22:48:12.10 ID:9GE5vrzP0
 彼の者のクラスはキャスターだ……そう報せる通信を受けながら、バットマンは腹部に光球を食らい、吹き飛んでいた。

 マシュが入れ替わりに飛び込み、盾を突き出す。

 ジルはまともに受け、吹き飛びながらも何事かを詠唱した。途端、マシュの身体がすくむ。おぞましい何かを覗き込んだ時のように……。

「どれほどあなた方が強かろうと、黒魔術は私が上だ。精神汚染を受けていない者など、話にならない」


 ジャンヌが歯を食い縛り、恐怖を抑え込んで打ち込む。だが腰の引けた打撃は通用せず、魔術師に弾き返された。

「貴女もです、ジャンヌ・ダルク。貴女たちは純粋すぎる」

 ジルは微笑み、瘴気を放つ闇を全身から放出した。ジャンヌは咄嗟に口を覆い、マシュはマスターを背に庇う。


「終幕です。フランスは滅ぼす。我が道は、ついに憎悪の果てへと到着する」


 朗読じみたキャスターの声が響く。


(あれは詠唱だ)


 バットマンは理解する。何かが来る。マシュの宝具を展開させるべきか……いや、これは。


「『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』!」


 ジャンヌは見た。ジルが掲げた本から、冒涜的な、存在してはならない存在が飛び出すのを。

 マシュは少し遅れて認識した。黒い触手がのたうち回り、津波じみて向かって来ているという事実を。


 バットマンは直感した。アレはまだ、発端に過ぎない。いずれ本体が飛び出してくる。


「あ、あ、あ……」
「……え……」


 聖女は膝をつき、マシュは頭を抱えてうなだれる。異様なまでに冒涜的な光景を目の当たりにした彼女らの精神は、汚染を防ぐため、シャットダウンを開始したのだ。


「仕方のない事です! 諦めなさい! フランスは終わる! この手で、必ず終わらせる!」
「そうはさせない」


 キャスターはふと、おのれの呪文がもたらした触手の上を見た。一匹の巨大なコウモリが、意志の力に目を光らせ、こちらを睨んで立っていた。


「何故……」

 何故、狂わない? キャスターは問おうとし、愚問を取りやめた。


 簡単な事だ。ヤツは既に狂っている。狂人だったのだ。


 バットラングが投擲され、ジルの腕に突き立った。激痛が彼の集中を遮り、呪文が消失した。


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