111: ◆GmHi5G5d.E[saga]
2017/11/25(土) 04:00:56.80 ID:UG/IDuW70
真っ赤な景色の中心に、黒い騎士は降り立った。着地の風が周囲の炎を薙ぐ。
うずくまった姿勢から立ち上がり、騎士は前方、燃え盛る風景の中の背中を見る。
(見られている)
その人物がこちらを向いていないにも関わらず、バットマンには確信があった。見られている。今、ではない。昨日今日、という話でもない。
ただ、人類が生まれた時から見られていた……奇妙な、悪寒にも似た錯覚が彼を包んでいた。
「何者だ」
バットマンの声を聞き、その人物は身体を震わせた。笑ったようにも、驚いて震えたようにも見えた。
そして、真っ白な髪を揺らしながら、その人物は振り向いた。真っ赤な目が、何も映していない目が、バットマンを見た。
勝てない。戦意を持つ前から、バットマンは察した。警戒など無意味だと。『アレ』は……人間から遠く離れた場所にいる。
「何者だ」
だが、彼は問うた。炎の中、『それ』は笑みで頬を引き裂き、口を開いた。
「我が名はソロモン」
パチリ。炎が爆ぜた。
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