92:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 20:17:22.54 ID:NjFxGLD10
◇◇◇
バージニア州ポーツマス郊外。
墓参りを終えたテッサは、ボーダ提督と自分達のこれからについて話していた。
「こっちは五里霧中だよ、テッサ。<ミスリル>再建の目途は経っていない……マロリー卿もいなくなってしまったからな。
どうだ、もしいい金づるを捕まえたら、TDD-2を建造するというのは」
冗談のつもりで、ジェローム・ボーダはテッサにそう嘯いた。彼女は兄との因縁に決着をつけた。
もう、これ以上鉄火場にに足を踏み込むようなことはしないだろう。
だが、予想に反してテッサは「そうですね……」と呟き、黙考してしまう。ボーダは慌てて言い直した。
「いやテッサ、今のは冗談のつもりで――」
「ひとつだけ、心配事があるんです。兄の企みと同程度に危険かもしれない、そんな計画を立てている人物がいるかもしれません」
「……誰だね? <ミスリル>は壊滅したが、伝手を使えばそれなりの対処は――」
「いいえ。おそらく無駄でしょう。ですが諦めたくはない。おじさま、ひとつだけ頼みが」
「なんだね?」
「――しばらく、飛行機には乗らないでください」
◇◇◇
南アフリカ、ケープタウン。
タンカーから降りたココ・ヘクマティアルは、私兵たちに自分の計画を明かした。
ヨルムンガンド。同名の量子コンピューターを使用し、人類から軍事力を取り上げる強制的な世界平和の実現。
手始めに空を封鎖するという彼女の言葉に、ヨナは訊ね返した。それで発生する犠牲者の数は?
「――たった70万人だって。それがどうした、ヨナ?」
「そんなの、絶対に駄目だ、ココ!」
◇◇◇
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