111: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/11/23(木) 02:56:01.57 ID:wdxtZDA40
たった、一言。
それを起きているときに言える勇気があるなら、どれだけ良かっただろう。
(一番臆病なのは、ウチやなぁ)
皮肉なもの、というべきだろうか。
人知を越えた化け物を何十体も海の底に沈めてきた自分が、たった2文字を相手に告げる勇気すら奮い起こせないのだ。
(ホンマ………笑え………るぇ?)
がくんと顎が落ち、急速に瞼が落ちていく。闇に意識が呑まれていく中で、龍驤は一つ思い出したことがあった。
(そういや、ウチも最近寝不足なんやった……)
幾ら司令官の負担を減らしたいからといって、流石に睡眠時間を削りすぎたか。
まぁ、今は執務室に川内が入っているし、彼女は夜型で徹夜にも強い。最悪任せてしまうことも視野に入れよう。
(………バックレは気が引けるけど、ホンマアカンこれ………明日……川内に………あやまらな………)
この時、眠気が臨界点を突破していた龍驤の脳裏からは、ここが誰の部屋であるのか、そして自分が誰の傍にいるのかが完全に滑り落ちていた。
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