24: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2017/11/16(木) 01:12:12.21 ID:4TBLGcT+0
○
ラスサビのあとの後奏も踊り切り、姿勢を保ったまま、制止する。
ここで、肩で息をするわけにはいかない。
一秒、二秒、三秒、時間にしてみたら一瞬だけど、体感だとすごく長く感じられる。
そうして、完全に音楽が止まって少しの間を置いてポーズを崩した。
「……どう、だった?」
あたしが尋ねると、プロデューサーは「すごい。……すごいですね」と言う。
「いや、もうちょっと具体的な感想くれよ」と突っ込むと「期待以上でびっくりしました」と真っ直ぐに言われ、たじろいでしまう。
「ダンスはさ、センスあるって、筋が良いって、トレーナーさんにも言われてるんだ」
「聞いてます」
「まぁ、今はこんな感じだけど、早くデビューできるように、もっともっと頑張るからさ」
「ええ、はい。信じてます。信じてるから、曲の方も用意しましたし?」
プロデューサーはこんこんとCDのケースをつついて、おちゃらけてみせる。
一言二言、軽口を叩き合って雰囲気が和んだのを見計らって、曲を用意した理由を聞いてみることにした。
「ここの事務の方から、自主練にすごく取り組んでくれていることを聞いたり、トレーナーさんにレッスン状況を教えていただいたり、……あとは実際に見たりする中で、これはこっちも本気で応えないと、って思いまして」
「うん」
「いつまでもティッシュマンだと思われてるのも癪ですし」
「根に持つなぁ」
「あはは、冗談です。冗談。練習のお邪魔してすみませんでした」
そう言って「それじゃ」と手を挙げて、プロデューサーは行ってしまった。
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