神谷奈緒「ステップバイステップ」
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21: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2017/11/16(木) 01:10:10.11 ID:4TBLGcT+0



後半戦の前に、自動販売機でスポーツドリンクを買うべく、重い腰を上げる。

ルームのドアノブに手をかけようとしたところで、急にドアが開いた。

「あ、神谷さん。お疲れ様」

「ん、ああ。プロデューサーか」

プロデューサーは、時々こうしてあたしのレッスン終わりに顔を出すことがあった。

理由はよくわからないけど「毎度、調子はどうですか」なんて言って、あたしを茶化しに来る。

それをちょっとだけ楽しみにしてる、あたしがいた。

「帰るとこでした?」

「いや、スポドリ、なくなっちまったから」

「ああ、丁度良かった」

プロデューサーは鞄からコンビニの袋を取り出して、あたしに差し出す。

中にはサプリメントとドリンクが入っていた。

「アミノ酸、摂らないと筋肉痛になりますから。それと、ドリンク」

「ん。……その、いつもありがと」

「今はこの程度の支援しかできないですけどね」

照れ臭そうに笑って、プロデューサーはルームの隅に座り込んだ。

「今日、トレーナーさんから渡されたんでしたっけ、曲」

わざとらしい、今思い出したような口ぶりだ。

そして、あたしの返事を待たずに「見せてもらってもいいですか」と真剣な顔で言った。



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