馬場このみ『dear my sweet.』【ミリマス】
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1: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/11/13(月) 01:43:07.07 ID:Jo2tkmMho
「アイドル」とは一体何なのであろうか。
その問いに答えを出そうとする者たちの多くは、その語源は「偶像」という語に由来すると引き合いに出すだろう。
それはファンと呼ばれる、アイドルを応援する集団が作り出す、本来実在しないはずの像であるのか。
それとも、アイドルひとりひとりが必ず持っている目標、憧れといったものの先にある像であるのか。
明確な答えはいまだ出ないままだ。
ただ、一つだけ言えることがある。
スポットを浴びて輝く「偶像」たる存在は「偶像」でなくてはならない、ということだ。

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2: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/11/13(月) 01:43:35.77 ID:Jo2tkmMho
彼女はひとりステージに立っている。
彼女のたつ場所は今、アイドルをアイドルたらしめるものは何もない。
アイドルの命でもある楽曲は流れておらず、煌びやかなはずの照明だって落とされて暗闇の中。
それはどのライブでもある、楽曲間で出演者を切り替えるのための暗転。
そんな、本当に短い時間である。


3: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/11/13(月) 01:44:19.48 ID:Jo2tkmMho
この有名音楽フェスから765プロライブ劇場のメンバーに参加のオファーがきたのはもうずっと前だっただろうか。
毎年夏に開催され、様々なアーティスト、アイドルが参加するこのイベントは、業界に居れば誰だって名前くらい聞いたことがあるだろう。
その舞台はここは劇場から遠く離れた、自分たちがまだ立ったことのないほど大きなアリーナ会場。
ステージから見渡す限り上から下まで、右から左まで全てが客席で、会場の名前にふさわしい大きさである。
今回はこのフェスに向けて特別に選ばれたメンバーだけでの参加になるのだが、いつか必ず全員揃って、この場所で『Thank You!』を歌うんだ、と彼女は不思議な予感を感じていた。
以下略 AAS



4: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/11/13(月) 01:44:56.41 ID:Jo2tkmMho
舞台照明が暗転した。
彼女は、直前の出演者に向けられた割れんばかりの歓声をやり過ごし、その間に自身の立ち位置へとスタンバイを終える。
リハーサルで何度も確認したことだ。その動きにはいつものように何のよどみもなかった。
続く765プロのメンバーたちの一番手として、最年長として、できる準備は全てしてきたつもりだった。

以下略 AAS



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