27: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:38:19.04 ID:W1uOFZeg0
●一週間後/事務所前
「…菜々さんは、これから、どうなさるんですか?」
必要な手続きも後始末も全ては終わって、菜々さんが事務所を後にする日。
結局今日まで聞く機会の無かった疑問を、私は思い切って菜々さんにぶつけてみました。
「まずは、勉強です!」
笑顔と一緒に、迷いの無い答えが返ってきます。
「猛勉強して、資格も取って、しっかり力を身につけて。そうでなきゃ沢山のウサミン―――いつかのナナたちみたいな子を手助けするなんて、できないですから」
菜々さんのお部屋にあった参考書を思い出します。
菜々さんはきっと以前から、考えて、道を見定めていたのです。
「いつか、ナナたちを見つけてくれたプロデューサーさんみたいな人になる。ウサミンを拾い上げてあげられる、皆を支えられるナナになる。それが新しいナナの夢」
菜々さんの柔らかい手が、私の手を取ります。
菜々さんが、笑います。
「形は変わっちゃうけど、行く道も違っちゃうけど、何年かかるかわからないけど…その時また、ほたるちゃん達と仕事ができたら嬉しいな」
「…はい!」
「それまで頑張ってなきゃメッ!ですよ―――それじゃ!」
さっと私の手を離し、背を向けて。
菜々さんは迷い無く歩き出しました。
感傷に浸る間もなしに。
次に本気でぶつかれることを見つけて。
「…がんばれ。がんばれ、ウサミーン!!」
私はその背にただ、叫びました。
「―――キャハッ☆」
振り返って、ポーズ。
菜々さんのウサミンスマイルは、今も曇りなく輝いていました。
(おしまい)
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