白菊ほたる「私も、ウサミンでした」
1- 20
23: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:34:52.15 ID:W1uOFZeg0

だけど、私達はもう皆、それを口に出してはならないのだと知っていました。

…舞台で踊る菜々さんを見詰めながら、私は千葉の小さなアパートで2人暮らしをしていた頃思い出しました。

事務所が潰れて路頭に迷った私を助けてくれた菜々さん。

ふたりともまだアイドルでも何でもなくて。

狭いアパートでいろんな話をして、オーディションを受けたり失敗したりしながら、明日を夢見ていました。

私たちは今はアイドルです。

あの頃の夢を叶えました。

でも、どうしてでしょう。

踊るの菜々さんを見ながら、私はあの頃がどうしてもどうしても懐かしくて。

輝いて思えてならなりませんでした。

あのころに戻れたら、きっとどんなにか楽しいでしょう。

だけど私は、望んであの場所を後にしたのです。

きっとそれも皆、同じでした。

私達は皆、望んでここまで歩いてきたのです。

だから、どんなにそうしたくても、戻ることは出来ません。

私達は皆、進んでいかなくてはならないのです。

進まなくていいじゃないか、と言ってはならないのです。

菜々さんの、最後の歌が終わりました。

私達は黙ったまま、精一杯の拍手を送りました―――




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
35Res/28.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice