白菊ほたる「私も、ウサミンでした」
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20: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2017/11/12(日) 20:33:23.93 ID:W1uOFZeg0

菜々さんは舞台袖から、ステージを見詰めています。

出番を終えて戻ってきたアイドルたちを笑顔で出迎えています。

私は自分の出番を終えて、そんな菜々さんのそばにじっと立っていました。

なんだか、離れるのが惜しかったのです。

「凄いステージになりましたねえ」

おばあちゃんのように目を細めて、菜々さんが笑います。

「菜々さんだから、皆集まったんですよ」

私も笑って、応じます。

もしかしたら笑顔は少し、ぎこちなかったかも知れません。

…ステージでは次から次に凄いパフォーマンス、熱唱が披露されていきます。

そして客席が盛り上がっていくのとは逆に、舞台袖は曲目が進むにつれて静かになっていきます。

このライブが終われば、もう、菜々さんがステージに立つことはありません。

私達は今、みんなで菜々さんの終わりへのカウントダウンを進めているのです。

戻ってくるアイドルも、ステージでの笑顔とは裏腹に、口数少なく舞台袖に戻ってきます。

笑顔で迎える菜々さんに何か言おうとして―――

力なく、黙ってしまいます。

皆、言いたいことがありました。

きっと、言いたいことは1つでした。

だけど、それを言ってはいけないことを皆が知っていたから―――あとは、黙るしか無かったのです。



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