2:名無しNIPPER
2017/11/12(日) 13:40:58.13 ID:I7ybG7FgO
私の、唯一人の大切な妹、小梅へ。
貴方がこの手紙を読んでいる時、私は貴方の傍にいないかも知れません。
貴方に、私のことを告げておきたくて、こうして手紙を書いております。
もし、私のことについて確かめたければ、両親に尋ねてみると良いでしょう。
私は、貴方がこの世に生を受ける3年前、貴方の母の胎に宿りました。
そして、母を通じて聴こえてくる外界の音に、生まれ出ずる日を心待ちにしておりました。
しかし、私が母の胎に宿ってから3か月半が過ぎた時、それは起こりました。
形成されるはずの心臓が、私の体を作る設計図のミスから、形成されなかったのです。
そうして、私は母の胎内から流れ落ちてしまいました。
あの時の父と母の悲しみに満ちた顔は、今でも忘れることはできません。
「短い間だけど、あなたの子供でいられて幸せだったよ」と伝えたくても、
満足な体を持たない私には、どうすることもできませんでした。
二人は私を丁寧に弔ってくださいました。
しかし、私はもう少し、母のそばにいたくて、この世を離れられずにいました。
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