32: ◆CItYBDS.l2[saga]
2017/11/08(水) 19:33:51.32 ID:1/6b/enLo
――――――
一方、大臣と盗賊の二人は長い長い廊下をゆっくりと歩いていた
盗賊「大臣、どちらに向かっているんですか?執務室とは逆方向ですが」
大臣「うむ、盗賊よ。貴様、隠していることがあるな?」
盗賊「・・・」
思い当たることはあった、勇者の裏切りの件である
先ほどは、大臣にまっさきに報告すべきと思ったものの
いざ大臣と二人きりになってしまうと、まるで告げ口をするような罪悪感に苛まれてしまっていた
大臣「答えぬか」
大臣は大仰にため息をついたものの、そこに怒りは感じられない
盗賊は察する。この人は全てを知ったうえで問いかけているのだ
自らが試されているということを
盗賊「・・・勇者が魔王軍に寝返りました」
大臣の頬がゆるむ
大臣「であるか。ふむ、盗賊よ貴様の忠誠心は未だ残っているようだな」
大臣「てっきり、自らの実父が囚われていることを忘れたのかと思うたぞ」
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