49:名無しNIPPER[sage saga]
2018/10/26(金) 23:52:56.36 ID:y4qJBXx7o
・ ・ ・
「「……」」
二人で、エレベーター内で、無言。
無言のまま、一階まで降りて行く。
彼は、どこかソワソワしてて。
私は、それがちょっぴり楽しい。
「あ……あの」
私の背後から、意を決した声。
とっても緊張してるみたいじゃないですか。
そんな声を出されたら、ちょっぴり意地悪したくなっても、ね?
ふふっ、仕方ないと思うんです。
「はい、何ですか?」
彼を見ずに、ツンッとすまし声。
言い終わった後、思わず笑いそうに。
だから、コホンと咳払い。
それで、何を仰るつもりですか?
「……すみません」
なんて、消え入りそうな声。
可哀想になっちゃったのと、モヤッとした気持ちが、半々。
また、無言。
早く……エレベーター、着かないかしら。
「あっ……明日の、ご予定は?」
少しトーンの高い、焦った声。
私がさっき聞いたから、話題に選んだのかしら。
だとしたら、少し、手抜きだと思うんです。
答えますけど、その続きはどうなさるつもりですか?
「明日は」
――チーンッ。
「……」
エレベーターの、到着音。
開いていく、ドア。
言葉を遮られて、何も言えずに居たら、
「……っくく」
後ろから、押し殺したような、笑い声が。
「……」
ポチリと、ボタンを押す。
目的の階に着いたエレベーターのドアが、私達を乗せたまま閉まっていく。
彼は、慌ててドアの間に手を滑り込ませた。
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