【艦これ】提督「クソッタレな世界を」長門「生き残るために抗おう」【安価スレ】
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12: ◆k5OCMHkyEc[saga]
2017/10/29(日) 16:03:01.10 ID:5kjN12kv0
「――まず、提督が無理していたのは全員にバレていたよ」

やっぱりか、と提督は落ち込む。あれほど声が震えていたのだから、当然かもしれないが。

「いや、寧ろバレて正解だったさ。もし、貴方自身が出した玉砕命令だと判断したなら、私たちは純粋な深海棲艦になっていたよ」

理解が追い付かない。大本営のデータベースには『沈んだ艦娘は全て深海棲艦と化す』と記されていたのだから。

「あながち間違いではないな。厳密には、憎悪や虚無感といった負の感情を抱いたまま沈めば『そうなる』のさ」

「私たちの心にあったのは『貴方を救いたい』という想い。それだけだ」

「…俺を救う理由なんて無いだろう…」

提督は、消え入りそうな声で呟く。その心は、もう壊れていた。

たとえ、信頼している人に再会しても、彼女らを裏切った自分の罪は消えない。

寧ろ、そんな愚かな自分を許容する彼女らを見て、どれほど愚かな存在だったのかを痛感させられている。

「…なら、なぜ貴方は泣いていたんだ?」

「それは――」

言いたくても言えなかった。男としてのプライドという、醜いものがそれを許さない。

「そんな顔をするな。抱きしめたくなってしまうよ」

クス、と女の子のような笑みを浮かべる長門を見た、提督の心は限界を迎えた。

「抱きしめろ。そして、そのまま縊り殺してくれ」

もう生きたくない、辛い思いをしたくない。提督はそうはっきりと言った。

「――生きるということは、苦しさの連続だよ。艦としての記憶が殆どの私が言うのも何だがな」

長門。日本を背負い、いや、背負ったが為に戦うこと――兵器としての使命を果たすこと――が出来なかった。そして、最期は水爆の標的艦にされ、水底で眠りについた。

そんな彼女が言う苦しさは、常人の考えられるそれではない。だが、提督の心は悲鳴を上げる。

「貴方は、私たち『兵器』を『人間』として見てくれた。『人間』として生きることの歓びを教えてくれた」

「私たちにとってはそれで充分なのさ。救う理由なんて、な」

壊れたはずの心が軋む。彼女らの想いを踏み躙ってもいいのか、と。

「…意味が分からないんだよ…!どうして俺を救おうだなんて…!」

提督の中では、彼女の言っていたことと、自分を救うことが結びついていなかった。


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