佐久間まゆ「凛ちゃん聞いてください! まゆ、プロデューサーさんとキスしました!」
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◆E055cIpaPs
2017/10/29(日) 14:48:08.98 ID:T3zoKt8I0
突然家に帰ってきたまゆを、家族は驚きながらも歓迎してくれました。
きっと、テレビの向こうで日に日に元気を無くしていくまゆのことですとか、そのことと今回の帰郷との関係ですとか。
聞きたいことなんてそれこそ山のようにあると思うんですけど、それでも何も聞かずにただ優しくまゆを受け入れてくれました。
こんなに良い人たちを地元に残して、一人で東京に夢を追いかけに行って、心配をかけ続けて。
そんな自分を恥ずかしく思うようなつもりは決してありませんけど、それでも少し胸が痛みました。
目覚ましを止めると、そこには嘘のように静かな朝が広がっていました。
自動車が道路を走る音や同僚達がはしゃぐ声の代わりに、テレビからの声と朝ごはんの支度の音につつまれた、とても懐かしい朝の雰囲気。
体に染みついた、確かな「朝」としての記憶。
アイドルとして駆け抜けた短くも長い時間のことは、もしかしたら全て夢だったのではないか―――
昨日までの景色とあまりにも違う空気につつまれたせいで、そんな泣きそうになるようなことが脳裏をよぎりました。
このお休みだってちょっと体調を崩しただけのもので、5日後にまゆが足を運ぶのはテレビのスタジオやレッスンルームではなくていつもの教室で。 お友達と授業を受けて、お昼ご飯を食べて、他愛のない話で盛り上がって。 そして、モデル仲間と季節の新作ファッションをチェックした後で撮影に向かって。
―――もしもあの時、プロデューサーさんと出会わなければどうなっていたんでしょうか
だからでしょうか。 いままで何度か頭に浮かんだものの、必要のないことだと簡単に振り払えた考えが、どうしても頭から消えなくなってしまったのは。
そんなことを考えながら自室のベットの上でうつらうつらと横たわっていると、スマートフォンの着信音が遠くから聞こえてきました。
「って、まゆへの電話ですよねぇ」
きっと気が緩んでいるのでしょう。 一分近くも電話先で待たせてしまった相手は、学生時代の友人でした。
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