鷺沢文香「とある国語辞典にまつわる思い出」
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6: ◆ROiGFUMIKA[saga]
2017/10/27(金) 00:13:59.65 ID:iRLQJglJ0



重いトートバッグを肩にかけ、靴を鳴らして街の雑踏へ。

そういえば、先程お聞きした話によると、プロデューサーさんのお仕事には担当アイドルとのコミュニケーションも含まれるとのことでしたが、ともすればこれからの私との時間はサービス残業にあたるのではないでしょうか。

申し訳ない気持ちで胸がいっぱいでしたが、今更断ることもできませんし、できるだけ楽しい時間を過ごしていただけるように努めなくては、と思います。

私などの話が、面白いとは思えませんが、それでも、誠意は見せるべきでしょう。

何より、プロデューサーさんには私の、アイドル鷺沢文香のこれからの一切をお任せする方ですから、良好な関係を築くのは大切です。

そんなことを考えながら最寄駅に辿り着き、ホームへ出ると程無くして電車がやってきました。

乗り込みながら、電車というものは何か妖怪に似ているな、とくだらないことを考える私なのでした。

でろでろと乗客を吐きだして、代わりに新しい乗客を食べる妖怪です。

通勤通学時や帰宅時のラッシュのそれは、殊更に妖怪じみていると思います。



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