37:名無しNIPPER
2017/10/20(金) 02:43:17.40 ID:xT7KgNMd0
実際、話し合いはそれはもう紛糾しました。
当たり前です。狸はすっごく一途なんです。
危ないからここから離れろっていうのはその実、「恋人を忘れて暮らせ」って言ってるようなもので。
仮に私なら絶対嫌だし、相手も嫌って言いましたけど、でも命には代えられません。
お互いの主張は平行線、とにかく弁舌を振るう腹鼓もぽんぽこ打つ、
ついには化け合戦で白黒つけるかというところまで行き着く寸前、とうとう相手が折れました。
体はここに無い、魂もどこにいるかはわからないけど、私たちが作ったお墓があるから。
安全なその場所になら、ずっといられるから。
行く場所が変わっただけでも結構な変化なのですが、根本的な解決にはなっていません。
あの子は、恋人のことをびたいち忘れてなんていませんから。
……けど、狸ってそういうものです。私がどうこうできる問題じゃないし、それに、気持ちは痛いほどわかります。
いつかまた様子を見に来ようと思います。
……それにしても、夜で良かったです。
彼女と別れて車に戻る時、私の顔は真っ赤になっていたと思うから。
別れ際にあの子が、あんなこと言うから。その――
「あのオスが、あなたのツガイなの?」……だなんて。
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