【モバマスSS・北条加蓮】《今に至るまでの話》
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8: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2017/10/17(火) 06:05:18.73 ID:829Qgmpy0
加蓮はまた入院した。

3日目に熱は下がった。

売店でインスタントのスープを買って飲んだ。

窓から病院の中庭を眺めた。

中庭には大きな木があった。

名前も知らなかった。

加蓮は木を見るたびにO・ヘンリーの『最後の一葉』の話を思い出した。

「あの葉が散った時。私は死んでしまうの」

話に登場する病人はそう信じていた。

加蓮は信じていなかった。

私はそれほど重い病気であるわけではない。

私は病気がちなだけだ。

加蓮はわかっていた。

身体から力が抜けるような気がした。

学校の勉強をしようかなと思った。

何もしなければ追いつけなくなるからだ。

ネイルアートの雑誌でも読もうかなと思った。

今月号が出たはずだった。

加蓮はそのどちらもしなかった。

昼間から寝ているので眠りに落ちることもできなかった。

無気力に空を眺めた。

もういいやと呟いた。



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