8: ◆gCuQ8nrQVD7k[saga]
2017/10/12(木) 23:07:23.54 ID:MeJAY4k9o
「プロデューサー?」
P「……!」
P(振り返ると、顔のない顔がすぐ近くにあった……!)
P(思わず大きく身を仰け反らせてしまう……)
凛「そんなに驚かなくても……」
P「……ああ、ごめん……」
凛「……あのさ、プロデューサー」
P「……なんだ?」
凛「……ううん、やっぱり何でもない。ごめん、急に話しかけて」
P「……ああ」
凛「またね、プロデューサー」
P(多分、おそらく、凛は困ったような、そんな顔をしていたのだと思う。口元も目元も分からないので、推測することしかできない)
P(凛は、俺の様子がおかしいことに気づいたのだろうか? 極力普段通りを装うことにしているが……気づく人間は気づくだろう)
P(カツラと洋服を身にまとったデッサン人形が話しかけてきて、完全な普段通りという方が難しい……)
P(毎日動く人形と会話をしていて、頭がおかしくなりそうだった……いや、既におかしくなっている……)
ちひろ「……プロデューサーさん?」
P「あ……はい」
ちひろ「そういえば今日、文香ちゃんが帰ってきますね」
P「ああ……今日でしたね。そういえば」
ちひろ「そういえばって……自分のアイドルが帰ってくるんですよ?」
P「……はい、すみません」
P(文香は、親戚の葬儀のために、数日間休みをとらせていた)
P(またマネキンが一人増える……そう考えると、前は喜んで迎えていたはずなのに、自然と気が滅入ってしまうのだ)
P「……」
ちひろ「……」
プルルルルルルルルル
P(仕事用の携帯のディスプレイには、鷺沢文香の文字が映し出されていた)
文香『もしもし、プロデューサーさん、無事に最寄りの駅まで着きました……』
P「……ああ。文香、駅まで車で迎えに行くから、待っていてくれ」
文香『わかりました、ありがとうございます。それでは……』
P「ああ」
P「ちひろさん、今から……」
ちひろ「はい、行ってらっしゃい、プロデューサーさん」
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