3: ◆gCuQ8nrQVD7k[saga]
2017/10/12(木) 23:03:33.07 ID:MeJAY4k9o
…………
車内
P「ちひろさん、運転までしてもらって……すみません何か」
ちひろ「はあ……いくら私でも病み上がりの人間に運転させるほど鬼じゃありませんよ!」
P「じゃあ、一生病み上がりでいようかな。そうしたら、ちひろさんがずっと面倒みてくれますもんね」
ちひろ「何言ってるんですか全く……プロデューサーが事故にあったって聞いたアイドルの子たちの動揺っぷりを見ていたら、そんなこと言いたくなくなりますよ」
P「ああ……急に仕事をほっぽりだしたみたいなもんですから、あいつらも迷惑だったでしょうね」
ちひろ「そうじゃないんですけど……まあいいです。帰ったら、まずはみんなに挨拶ですよ。今でも心配してますから」
P「はは、そうですね」
ちひろ「プロデューサーさん、本当に何ともないんですね。3日も寝たきりだった割には」
P「はい。自分でも驚きですよ……意外に人間の身体って頑丈なんですね」
ちひろ「常日頃から仕事人間でしたから、神様も可哀想に思って、助けてあげようと思ったんじゃないですか?」
P「なら、お正月にはお賽銭を弾むことにします」
ちひろ「ついでに私にも弾んでくれていいですよ?」
P「それは遠慮しておきます」
ちひろ「抜け目がないですね……あ、あとちょっとで着きますよ」
P「わかりました」
P「……」
P(会話が終わり、何となしに車窓に目を移す)
P(信号待ちのため車が止まる。向こうに見えるビル上の広告に目が止まった)
P(一面を飾っているのは、某大手清涼飲料メーカーの広告。そのメインとなっているのは、担当するアイドルである渋谷凛。ペットボトルを片手にポージングしている広告……)
P(……おかしい)
P「……ちひろさん」
ちひろ「はい? どうしました?」
P「あそこの広告、まだ完成していないんですか?」
ちひろ「えっと……どれですか?」
P「あのビルの上の……」
ブーーーーーーーーーーーー!
ちひろ「あっ、青……!」
P「あっ、すみません……」
P(いつの間にか信号が青になっていた。後続車にクラクションを鳴らされ、急いでちひろさんはアクセルを踏む。先程の広告は、後ろへと流れていった)
P(さっき見た広告……)
P(凛の顔が映っていなかった)
P(まるで顔の部分だけを肌色で塗りつぶした……いや、顔のパーツだけ印刷を忘れたように、顔のみがのっぺらぼうのように無くなっていた)
P(見間違いだろうか……しかし、既に過ぎ去ってしまったので、車内の中から確かめる術はない)
P(3日もベッドの中で眠っていたので、まだ脳みそが覚醒しきっていないのかもしれない。だから、目が錯覚をおこした。そう結論付ける)
P(ただの見間違い。他愛ないことだ。そういうことにしておいて、到着するまで脳を休めるために目を瞑った)
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