【安価・コンマ】幻想的な世界を探険家が行くようです【オリジナル?】
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◆nN35Xsj1FM
[saga]
2017/11/09(木) 23:28:25.79 ID:Vciexfys0
そうして、水を飲んでいると、目の前で店主が料理を始めた。
考えてみると、こうして調理している場面を見ながら食事を待つのは、始めてな気もする。
少し楽しみにしながら、アルジールはそれを見物した。
まずは、年季の入っていそうなガスコンロに火を掛け、底の深い鍋を出す。
それを加熱して温めている間に、カウンターの奥の方にある、鉄製の箱
……冷気が漏れ出たのを見ると、どうも冷蔵庫らしい。随分な高級品を置いているものである
……から、幾つかの野菜を出してきた。見れば、ニンニク、タマネギ、ニンジン、ピーマンである。
ニンニク。成る程、確かにこれが食事に入っていると食欲が湧く。結果的に体力は付くだろうが、少し臭いが気になるところである。
どう料理するのやら、と眺めていると、さくさくこれをカットしていく。ニンニクは微塵切り、そのほかは角切り。
そうしてすっかり切り終わると、熱された鍋に軽く油を敷いて、其処にトマト以外の野菜類を順番に入れる。
暫くそれらを店主が炒めていると、油の香ばしい匂いが漂って来た。如何にも料理をしている、という感じである。
そうやって炒めた後、店主は後ろの冷蔵庫らしい箱をまた開いて、赤い肉の塊を出した。
牛肉らしい。脂身がなく、肉そのものが少し薄いのを見ると、頬肉だろうか。
それを細かく、サイコロ状にカットすると、少ししゃがんで、どうやら切ったじゃがいもらしいものを出してくる。
此処まですると、彼は、切ったトマトと牛肉、そしてじゃがいもを鍋に入れ、調味料らしい粉を振りかけてから、また炒め始める。
尚々、ますますもって良い匂いである。アルジールの腹の虫が、少し騒がしくなってきた。
少しして、炒め終えたものを見ながら、店主はまたまた鉄の箱を開き、何かの汁らしいものが入った器から、その中身を鍋に全て注いだ。
そのまま鍋を煮てしばらくすると、レードルで掬い上げた汁を味見して、塩コショウ、それとハーブで味を付ける。
また味見をして少しだけ頷くと、彼はその中から煮込んだものを少し小さな皿に盛った。
「お待たせしました。これが、『スタミナのつきそうな料理』ですよ」
ことり、と、アルジールの前に置かれたそれからは、湯気と一緒に、何とも芳しい香辛料の匂いが漂ってきていた。
少しだけ、唾を飲み込む。空腹にこの匂いは溜まらない。
彼女は、いつもは欠かさない食前の短い祈りもおざなりに、一緒に出されたスプーンを取り上げて、早速食べ始めた。
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