【安価・コンマ】幻想的な世界を探険家が行くようです【オリジナル?】
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408: ◆nN35Xsj1FM[saga]
2017/11/09(木) 22:45:22.16 ID:Vciexfys0
「えっと、じゃあ、何か『スタミナのつきそうなもの』を……」
「『スタミナがつきそうなもの』、ですね。畏まりました」

少しお腹も減っているし、何か腹持ちの良いものを、と思った結果、こんな頼み方になった。
しかし、店主は曖昧な注文にも文句一つ言わず、あっさりと頷いて了解してくれた。
更に驚いた事には、そうして了解した後、店主がどこからか、一つのコップを出してきたのだ。

「此方、飲み物の水です。此方は無料なので、どうぞご自由に」
「えっ、水が無料なんですか?」
「はい。当店自慢のサービスですよ」

至極軽い様子で言う店主を尻目に、信じられない、という面持ちがつい顔に出る。
人が飲める水の確保というのは、とても面倒だ。これは探険家だけの問題ではなく、社会全体の問題でもある。
嘗ての文明は、極めて高度な水道システムを有していたらしく、蛇口をひねって出てくる水をそのまま飲めたというが、
そんなのは現在、『夢のシステム』といって差し支えない代物だ。
今の社会で同じことをしようものなら、たちまち飲んだ者は腹痛に襲われることだろう。
ということは、水を客に提供するには、少なくとも煮沸して消毒するか、既に消毒してあるものを買ってくるしかない。
どちらも手間がかかる。対価を頼むのに充分だ。だというのに、無料。しかも、幾らでも飲んで良いときた。

訳の分からないまま、出された水を飲んでみる。仄かに、柑橘の香りと風味がした。
端的に言って、旨い。そのまま一杯を飲み干してしまうと、店主は笑って、新しい一杯を注いでくれた。


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