【安価・コンマ】幻想的な世界を探険家が行くようです【オリジナル?】
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268: ◆nN35Xsj1FM[saga]
2017/10/11(水) 21:19:44.53 ID:qBrf68q60
「……」

一人、眠るアルジール。霧に満ちた世界で、時間だけが流れる。
輝く月だけが、夜を照らす。音のない闇は、穏やかに、少女を包んでいた。



しかし、その静けさは、突然に破られることになる。

「っ」

ぞわりと、アルジールの背筋を冷たいものが奔る。
寝袋を直ぐに這い出、背嚢から鉈を背負う。そして、それを構えて、彼女は目を凝らした。
霧の向こう。それは、確かに存在していた。
林の若木と見紛う程、巨きなヒトガタ。
それにまとわり付き、不気味に月光を照り返す、粘着質の液体。
頭と思しき所から垂れ下がった、異様に長い舌。
その頭の殆どを覆う、余りにも大きな口。

異形。アルジールは、思わず声を漏らした。

「……あ、くま」


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