23:名無しNIPPER[saga]
2017/09/30(土) 19:24:04.68 ID:hM1GrFFI0
―――数十年後
男「ん、朝か。今何時かな、と」
男「……そういえばここは時計のない海の底、時間なんて分からないのだったな」
男「さて、今日は何をしようか……」
人魚姉「男さん、起きてますか?」
男「ああ、起きてるぞ」
人魚姉「……今日が何の日か覚えていますか?」
男「……無論だとも。俺が殺めた人魚の命日だ」
人魚姉「……下に降りてご飯を食べましょう。それからお墓に行きます」
男「了解した…よっと」
男「……また、体が少し重くなったな」
人魚姉「大丈夫ですか? 泳げますか?」
男「心配するな…今、行く」
日に日に増していく、自分が老いたという感覚。
人魚になったとは言え、もとが人間だったからだろう、
寿命が長くなるということは無かった。
すぐそこまで近寄ってきている死を前に、俺はあの世に想いを馳せていた。
あの人魚はきっと、今や遅しと俺が来るのを待っていることだろう。
再会したら何と言えばいいのか。まずは謝罪か?
……いや、きっとあいつは滝のように暴言を浴びせかけてくるに違いない。
それら全部を、黙って聴いていよう。
謝るのはそれからでもいい。
……そんな風なことを考えていた。
男「……待っていろ、もうすぐ俺も―――」
「よくも私を殺したわね! 凄く痛かったんだから!」
「死ね! 死ね!」
「……いや、もう死んでるんだが」
「やかましいわああああ!!」
(相変わらずうるさいな……)
END
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