29: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:15:27.55 ID:r5zFZECu0
その存在は、その歌声は、教会の中に完全に溶け込んでいるような気さえする。
その声音からでも、心の底から気持ち良さそうに歌っているのがわかる。
僕の気配に気付いてか、不意にシスターがこちらを振り返り、歌声が止まった。
彼女だった。
彼女は我に返ったように何度か小さく頭を振り、こちらへやってきた。
足音に合わせて、こつこつと木を叩くような音が鳴った。
あの晩と同じ、濃紺の修道服に身を包んでいる。
「おはようございます」
そう言って彼女がお辞儀をする。慌ててそれにならって頭を下げた。
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