227: ◆hfr5rHILM6
2017/10/04(水) 21:59:31.85 ID:4qDlJarH0
「そうはいってもな由比ヶ浜、比企谷の方にも都合が……」
ぐいぐい。
「うー……」
「そもそも校則的にだな……」
「うぅ……」
ぐいぐい。
「とりあえず比企谷から離れて……」
「うぅぅ……」
「うぐっ……」
先ほどから平塚先生がやんわりと俺からロリヶ浜を引き離そうとしてくれているのだが、ロリヶ浜さんの潤んだ瞳と、子犬のような仕草に絆されたのか、徐々にその力が弱まっていく。
幼女パワー恐るべしである。
平塚先生も罪悪感からかちょっと泣きそうになりながら、相も変わらずロリヶ浜さんを引っ張っている。
……正直ものすごく嫌なのだが、この状態のロリヶ浜を放置して家に帰ると、多分俺も罪悪感でヤバい上に小町に折檻を食らいそうなので、嫌々ながら平塚先生に提案する。
「……俺が由比ヶ浜と一緒に授業受けちゃだめですかね」
「それは……いやしかし……」
しかし今でさえ負担をかけまくっている平塚先生にこれ以上の負担をかけるのは正直忍びない。
今日教室に来たときにも、普段よりも疲労が目に見えていたし、三人の為に色々と苦労してくれているのだろう。
ほんとなんで結婚できないんだこの人は。早く貰ってあげて。
俺がどうするか決めかねていると、急にポケットの中の電話が鳴った。
失礼します、と断りを入れて電話に出る。
「今取り込み中なんですが」
『あ、比企谷君? 今そこにガハマちゃん居たりする?』
「……あんたエスパーか何かですか? 正直怖いんですけど」
『酷いなぁ。雪乃ちゃんから事情を聞いてもしかしてって思っただけだよ。じゃあやっぱりいるんだね』
「まぁ、確かにいますが」
『そか。私のワガママで静ちゃんには結構迷惑かけちゃってるみたいだし、学校の方への口添えはせめて私がやっとくよ。比企谷君は心配せずにガハマちゃんと一緒に授業受けてていいよ〜』
そう言うと雪ノ下さんは一方的に電話を切った。
学校に圧力……というか口添えできるって本当にあの人何者なの? ただの大学生だよね?
人徳の成せる業なのか、魔王たる所以なのか。とにかく、平塚先生をこれ以上涙目にすることは避けられそうである。
「平塚先生、先ほど電話があったんですが……」
雪ノ下さんから聞いた話をそのまま伝えると、平塚先生はほっとした顔で胸を撫でおろしていた。
「そうか。そろそろ減給も覚悟していたんだが、なんとかなりそうだな……」
「まぁ今回に関しては完全にあの人が悪いんで……」
「……そこら辺の話は今度聞かせてもらう。陽乃のやつめ……」
黒いオーラを駄々洩れにしながら、平塚先生はここで待っていろ、と言い残して職員室の方に歩いて行った。
暫く経ったのちに帰ってきた平塚先生が出したのは、OKサインであった。マジですか。
こうして俺は高校の授業を幼女と一緒に受けるという、今後の人生で二度と経験することのないであろうシチュエーションを迎えることとなったのだった。
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