八幡「雪ノ下たちが幼女になってた」
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149: ◆hfr5rHILM6[sage]
2017/10/01(日) 15:57:05.84 ID:YcYnwTxy0
 プルルルル、というコールが一回なるたびに、手汗がジワリと滲む。

 女性に電話をかけるというのは緊張するものである。しかしその緊張の原因と言うのは基本的に嬉しさが半分以上を占めるものだ。

 たとえそれが臨時休校の連絡網であったとしても、女の子と話せるというだけでなぜだか嬉しくなって舞い上がってしまう、悲しい中学校の頃の思い出を想起する。

 しかし今、超絶美人である雪ノ下さんに電話をかけるという作業に関して、俺はまったくもって嬉しさというものを見いだせないのであった。

 女性と話そうとしてるのに全く嬉しくないどころか恐怖すら感じてるってどういうことなんですかね。

 やはり俺はあの魔王が相当に苦手らしい。対面して話すことは勿論だが、電話となるとなおさらだ。

 十数回コールが鳴っても、まだ雪ノ下さんは電話に出ない。のんきに可愛らしいあくびを漏らしているロリヶ浜さんを恨めしく睨んでいると、呼び出し音から通話音へと移行する音が聞こえた。

 そして聞こえてくる強化外骨格ヴォイス。

『ひゃっはろー、比企谷君。君から電話なんて珍しいね。夜遅くにお姉さんにラブコールとは、普段可愛い女の子たちを侍らせてるのに隅に置けないなーこのこの』

「……切っていいすか」

「だめよ」

 隣のロリノ下さんから横やりが入る。

 知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない……!

『あら? そこに雪乃ちゃんがいるの? きゃー! もしかしてもう二人はそういう仲になっちゃってたのかな? じゃあお姉さんとヒミツの電話なんてしちゃだめだゾ☆』

「……生憎ですけど由比ヶ浜と一色もいますよ。とぼけるのはやめてほしいですね。あなたのことです、大体の事情は把握してるはずですが」

『……そ。三人ともそうなってるんだ』

 電話口から聞こえてきていた黄色い声がピタリと止む。気味の悪い沈黙が場を支配する。

 胃が痛い……キリキリ痛い……。これで胃に穴が空いたら小町に看病してもらおう。

 俺が冷や汗をかきながら次の一言を待っていると、雪ノ下さんが静かに口を開いた。

『さすがにあれだけ露骨だと、あっさり気付かれちゃうかぁ』

「……色々考えて、最も可能性の高い原因に初めに当たったまでです」

『私としては、君がそうなっていないのが誤算といったところかな』

「雪ノ下さんの作ったお菓子とか怖くて食べられないですよ」

 しまった、つい本音が出てしまった。

「というか、じぶんのたべられないものをだまってひとにたべさせたのね……」

「ひっきぃ……」

「さすがのげすさですね、せんぱい」

 あれー? せっかく頑張って魔王と戦ってるのに味方からも攻撃が飛んでくるぞ?

『ひどいなー、比企谷君は』

 そういってけらけら笑う雪ノ下さん。怖い、魔王怖い。
 

 


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