池袋晶葉「アンズロイドと」安部菜々「私たちの事務所」
1- 20
65: ◆5AkoLefT7E[saga]
2017/09/25(月) 22:51:16.43 ID:6zzzKWfl0

杏「杏が初めて意志を持って、このラボで生まれた時、最初に何を感じたか、わかる?」

晶葉「……」

杏「正解はね、『恐怖』だよ」

晶葉「恐怖……」

杏「そ。もちろん、目の前にいた晶葉と菜々さんに対してじゃないよ? 情報は頭に入ってたから。じゃあ何が怖かったって、直感的に思ったんだ。『捨てられる』って」

晶葉「……どういうことだ」

杏「まずさ、目的を認知したよ。アイドル部門のためって。次に、自分の状態を確かめた。完璧に動けそうだし、出来ないことなんてないくらいの感覚」

晶葉「……」

杏「最後に、気が付いたんだ。何でもできるのに、何もしたくないって」

晶葉「それは……」

杏「釘を刺しちゃうけど、晶葉のことを責めてるとか、一切ないからね」

晶葉「……」

杏「晶葉ならわかると思うけど、機械って論理的なんだ。すぐに自分の価値を測ったよ。そして、思った。『ああ、杏は捨てられるんだ』ってね」

晶葉「そんなわけ……」

杏「"映像も音声も凄くクオリティが高いけど、なかなか電源がつかないテレビ"とか、"スペックも機能も申し分ないけど、クリックしてから2秒待たなきゃ反応しないパソコン"とか」

晶葉「え?」

杏「不良品でしょ? 普通は返品して新しく買い直すよ。それが世界に1品だけならまだしも、晶葉なら次だって作れるだろうし」

晶葉「次……」

杏「論理的に考えるってそういうこと。ひとまず捨てられなさそうだってわかった後も、杏は怖かったんだ。"目的が果たせないとわかったら、今度こそ"なんて」

晶葉「……」

杏「でも、そんな杏の不安なんて吹き飛ばすくらいに、晶葉は、菜々さんは、プロデューサーは、……優しかった」

晶葉「……」

杏「杏のぐうたらを見ても呆れないで。杏が何をしても受け入れてくれて。杏を……仲間として扱ってくれて」

晶葉「……当然だ」

杏「機械にはその"当然"が難しいの」

晶葉「そう……か」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
88Res/86.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice